インスリン抵抗はパンデミック

一般消費者は糖尿病や高血圧、そして癌や心疾患のことをとても詳しく知っています。
しかし、それらのNCD(非感染性疾患)の根本的病理が「インスリン抵抗」であることを理解している人は僅かしかいません。
その前に、インスリン抵抗がどの様な症状なのか、知っている人が、ほとんどいないのです。
インスリン抵抗を知らないのですから、自分に抵抗性があるかどうかを疑うこともしません。
肥満や高血糖や高血圧など、時間が経過して発症してから初めて気づくのかというと、
それでもインスリン抵抗が何なのかわからないのです。
医師や看護師を含め医療業界従事者のほとんどが、簡単に説明することさえできません。
原因さえ分かれば、その原因を改善できる方法を実践しようと思うかもしれませんが、
その原因を知らないのですから、改善のための医療活動が広がりません。
「インスリン抵抗」が理解できれば、生活習慣によるアプローチがなぜ大切なのかが
より現実的に理解できるはずです。
私達が無知でいる間にインスリン抵抗性は急速に拡大しました。
メタボリックシンドロームは米国の成人の1/3を占めます。
日本のメタボリックシンドロームの罹患率は男性が約25%、女性が約12%となっていますが、
予備軍を含めるとこの倍の数字になります。
新型コロナは感染しても10日もすれば回復し、死亡者数も全死亡原因のわずか2%程度です。
それに対し、代謝性疾患による死亡は約7割と推定されます。
今米国では4歳児の10%がすでにインスリン抵抗を持っています。
親がインスリン抵抗のことを知らない環境で、子供が離乳後に
超加工食品をベビーフードとして与えられた当然の結果です。
無知な状態で時間が経過した、日本の将来の姿であるともいえるでしょう。
まずは、「インスリン抵抗性」を理解し、それを知っている人が知らない人に啓蒙していくことでのみ、
慢性病の予防は可能です。
現在は症状として認められていない「インスリン抵抗性」を病気だと認知することから
真のNCD(非感染性疾患)の予防を始めることができます。