現在の医療システムではモラルハザードが起きやすくなっている

怪我や感染症などに対してサービスを提供している時、ヘルスケアシステムは
とてもうまく機能します。
処置や投薬によって治療し、その対価として報酬が発生するという、
とてもシンプルなビジネスのモデルです。
しかし、非感染性疾患(NCD)のように生活習慣が原因となっている病気は
薬理療法による根本治療が不可能です。
それゆえに、現在の医療システムではモラルハザードが起きやすくなっています。
モラルハザードとは、被使用者(医療提供者)が使用者(患者・消費者)が
知りえない情報や専門知識を有することから、被使用者の行動に歪みが生じ、
目的の効率的な達成が行われなくなることを言います。
ここでは、患者の「治りたいという利益」と、医療提供者の
「病気の状態が長引くほど増える利益」が真っ向から相反します。
極端な話をすると、利益が相反する場合、医療提供者は患者にできるだけ
回復してもらいたくないという考えが起きることがあるのです。
医療システムがモラルハザードの問題に根本からアプローチするには、
患者の利益と自ら医療システムの利益を一致させること、
つまり医療システムが慢性病を根本治療できるようにならないといけません。
それは即ち、医療システムが生活習慣の変化を促すことができる存在に
変わるということで、いつかは実現していくと思います。
ただ現在のヘルスケアシステムは既得権益による制度が
モラルハザードの上に構築されていますので短期的には変わりません。
つまり、しばらくの間は、消費者が自分自身で学習し、
健康を実現していかないといけないということです。